2018年7月2日
役員退職金はいくらまで払えるの?
沖縄の泡盛「残波」で有名な比嘉酒造の社長の退職金6億7000万円が高額すぎると国税当局と裁判で争った結果、国税側が敗訴したと聞きました。今まで数式=最終給与×勤続年数×功績倍率(社長は3倍程度)といわれていましたが、実際はどうなんでしょう。
退職金の額に合理性があれば認められます
おっしゃられる計算式は、昭和40~50年代の租税裁判で、該当する中小企業の水準のデータを国税当局が分析して出した計算式で、社長は3倍という数値は国税側が容認した最高値です。
残波裁判では、国税当局は同業他社のサンプル数値をもとに主張しましたが、比嘉酒造側は創業者であるとともに、全国展開で急激に業績を上げた功績は他と比較できないと反論。しかも最終給与は、引退前の減額された給与であり妥当性がないとも主張しました。
判決では、国税側の基準も40年以上前の、しかも一部地域におけるサンプル調査をのみ基準にするのは合理性がないと批判しました。
現実には最終給与ではなく、生涯賃金の平均値や社長時代の最高額が認められた場合、功績倍率では過去4・89倍が認められたこともあります。一方で、実績もない名ばかり社長だとして1・18倍しか認められなかった場合もあります。また、退職金として6倍を認めつつも、3倍を超過した部分は損金に認めないという判決もあります。
いずれにしても、退職金の額は、単純に今までの数式に従う必要はありませんが、過去の裁判例を参考にしながら判断するしかありません。税理士にご相談ください。
プロフィール
代表疋 田 英 司
平成17年 大阪国税局退官
疋田税理士事務所開設
平成18年 税理士法人京阪総合会計事務所
開設
●現在の主な活動
税理士業務
(開業支援、経営支援、相続のご相談など)
ボランティア支援
NPO法人の支援