2016年5月6日
監事の責任は重大です。軽くやってると責任問題にも・・・
監事っていうとどのような印象をお持ちでしょうか
一般社団法人や財団法人、NPO法人、社会福祉法人、はてはマンションの管理組合など、人格のない社団などの様々な組織に監事が設けられています。多く聞かれることは、名前だけだからとかいうパターンです。しかし、理事や使用人が不正を行った場合、第三者や組織に対して監事は「名前だけだから、知らない」なんて事はいえません。こんなことをいうと、業務怠慢で、逆に責任を取れといわれてしまいます。
監事というと経理上の監査だけだとお思いじゃないですか?監事の任務は経理だけじゃなく、理事や使用人らの業務監査も対象となります。議事録は正しく作られているか、定款や各種法令に照らして違反はないか。例えば、理事会の会議で、「理事長に一任」なんて一任決議をしてしまうのは正しい処理ではありません。仮に一任したとしても監事は一任された理事長の動きを監督する義務があるのです。もし仮に、理事長が誤った行為を行って組織に損害をあたえた場合は、監事に賠償責任を負わされることがあります。監事には理事会などの召集権限があるのです。
農協の監事の責任を問うた裁判がありました
農協の代表理事が補助金がもらえるからと堆肥センターの建設を農協のつなぎ融資で建設させた上、結局補助金が交付されなかった。この結果、農協に損失を与えてしまった事例で、代表理事の説明も曖昧で問題が多かったにもかかわらず、監事がチェックをしなかったのは任務懈怠であるとして1000万円の賠償責任を負わされました。(最高裁H21-11-27)それまで、地域の仲間内で組織され、反対意見も言いにくい場で、監事が資料の提出や釈明を求めることなどいいにくい雰囲気があったのです。よくある話ですが、気安く任務を受けると理事より責任が重大な任務なのです。
監事の責任は重大
監事は「年に1回の出席だから」とか、「印鑑を押してもらえばいいだけだから」といわれて気楽に受けるとたいへんなことになります。一般社団法人等の法律では、監事は理事会などに出席して必要があれば意見を述べるとあります。つまり、出席しなくてもいいというのは誤りで、出席義務があるのです。出席することができなかったとしても、議事録を確認し、問題点がなかったかを監督する義務があるといえます。
プロフィール
代表疋 田 英 司
平成17年 大阪国税局退官
疋田税理士事務所開設
平成18年 税理士法人京阪総合会計事務所
開設
●現在の主な活動
税理士業務
(開業支援、経営支援、相続のご相談など)
ボランティア支援
NPO法人の支援